剥離防止コートスライドグラス
スライドグラス表面に組織切片・細胞を接着固定できるコート処理スライドポリ-L-リジンコート(PLL)、
アミノシランコート(APS)に加え、特に剥離が発生しやすい免疫組織化学染色領域等に最適な
MASコート、MAS-GPコート、FRONTIERコートをラインナップしております。
-
コートスライドガラスの接着原理
-
ガラス表面の濡れ性の違いによる切片伸展性
剥離防止スライドガラスに要求される特性
-
細胞の表面構造について
細胞表面は、脂質2重層中のリン脂質により負(COO-)の荷電状態にあり、ガラス表面を正電荷にすることで接着固定が可能となります。
従来からアミノ酸であるポリ-L-リジンやアミノシランをコートすることで、ガラス表面を正の荷電状態にすることが実施されてきました。 -
剥離防止用スライドガラスに要求される特性
- 各種診断目的での前処理、染色、抗原賦活化処理等でスライドガラスから組織切片が剥離・脱落しないこと。
- 組織切片伸展作業性の良い、親水性を有するコートであること(コート表面親水性により切片伸展作業性が向上する)。
-
スライドガラス上から組織切片・細胞の剥離が発生する主な処理過程
各種診断目的での前処理・染色・抗原賦活化処理等でスライドガラス表面から組織切片・細胞が剥離することがあります。以下に主な処理例をあげます。
組織切片・細胞の剥離が発生する主な処理過程
- 各種染色処理
-
抗原の賦活化処理
- 単純加熱処理
- マイクロウェーブ処理
- オートクレーブ処理
-
酵素処理
- プロテアーゼ処理
- トリプシン処理
- ペプシン処理
- NaOH処理
- HCI処理
- ぎ酸処理
自動免疫染色装置による剥離発生防止効果の確認
-
評価方法
成ブタ乳腺組織パラフィン4μm切片貼り付け
伸展後乾燥 60°C30分
自動免疫染色装置
抗原賦活処理時間60分で実施 -
評価結果
剥離防止用スライドグラスのラインナップ
-
PLLコート
- 塩基性アミノ酸のPoly-L-Lysineコート。
- コート面はガラス面のOH基とイオン結合しています。
- ガラス表面は疎水性となります。
-
APSコート
- アミノシランをコートすることによりガラス表面を+にチャージさせ細胞を固定します。
- ガラス表面とアミノシランは共有結合し安定しております。
- ガラス表面は疎水性となります。
-
MASコート
- アミノシランコートと比較して、アミノ基の高密度化を実現し、組織切片・細胞接着性の飛躍的向上が可能となりました。
- ガラス表面とMASコート剤は共有結合し安定しております。
- 組織切片伸展作業を容易にする、親水性を有しております。
-
MAS-GPコート・FRONTIERコート
- MAS同等の切片剥離防止効果。
- ファインフロストスライドグラスの使用により、High pHバッファ処理の耐久性が向上しました。
- 免疫染色、特殊染色等におけるバックグラウンド共染を低減しました。
- MASコートと同等の親水性を有しています。