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薄膜ガラス材料のディスプレイ市場 [ PAGE01 ]

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1. はじめに

松浪硝子は薄膜ガラスの製造、加工をコア技術として多方面に商品展開してきた。当社のルーツを述べると概ね次の通りである。1844年に松浪家が日本国内で薄玻璃製造を開始しているが、これをもって松浪硝子の創業の年としている。薄玻璃とは玻璃鏡の素材となるガラス材料のことである。その後、 1854年には玻璃鏡の本格的な製造に着手し、玻璃鏡の製造は大阪府の泉南地域の重要な地場産業となった。当時の製法は坩堝の中で熔融されたガラス材料を竿に巻き取り、薄く風船状に吹いてそれを一定の大きさに切断し、また熱処理で平坦にして裏面に水銀を塗布して、それを所定の紙で押さえて乾燥させ、枠の中に入れて「合わせ鏡」にするというものであった。

1877年には、日本で第1回内国勧業博覧会が開催され、長年の技術成果である薄玻璃鏡を出品し花紋賞牌を授与されている。これは日本のガラス業界に置ける最初の受賞であった。しかし一方、海外のガラス材が多く輸入されるようになり、経営面での転換期が来ていた。1889年より時代の要求に合った薄板ガラスについての調査・開発を重ね、1904年に顕微鏡用カバーガラスを、1905年には顕微鏡用スライドガラスの製造開発に成功した。その後、製造方法として確立したのはラバース式機械吹き円筒法の極薄ガラスへの応用というべき独自の工法であった。このような流れの中で電子分野での薄板ガラスの基礎を築いた。

1970年代~80年代の半ばにかけて、社内の薄板製造技術の延長でプラズマディスプレイ用のスペーサーガラスを製造していた。今でこそPDPと言えば大型壁掛けテレビの代名詞のようになってきたが、1970年代に実用化されていたのは銀行オンライン、証券会社、みどりの窓口およびOA機器の表示装置というものであった。単色のオレンジ色の色合いが欧米で比較的好まれ、ノートパソコンの初期商品化時には、PDPを採用したものも見られた。このような時期に板圧t0.1~0.2のソーダガラス系の材料が、スペーサーとして使用されていた。サイズは200×300mm程度で、φ0.5mm程度の孔を緻密に開けていた。フッ酸を使用してのパターンエッチングであったが、この孔はプラズマ表示の鮮明度向上のため益々細かさを要求されるようになって行った。

その当時の処理は高濃度の薬液を使用して温度コントロールしながら短時間で処理するもので、シンプルな工程ではあったが、条件設定・安定した歩留りという面で問題があった。当時のガラス加工技術には限界があり、PDPのスペーサーはガラスペースト使用のスクリーン印刷(圧膜印刷)に移行した。現在のPDP は最初に述べた通り、大型フラットパネルディスプレイとしてテレビへの展開が大半を占めている。

前面ガラス基板、背面ガラス基板のそれぞれに誘電体層を形成する工程がある。この誘電体層にはガラスペーストを使用し、スクリーン印刷と焼成処理して放電電流をコントロールする。また、背面ガラスの誘電体の上にはストライプバリアリブを形成して、更にR・G・B、1組1画素の蛍光体層が形成される。この基板の外周部にフリットガラスを使ったシール材をディスペンサーで塗布し、前面ガラスと接合・封着される。これらの工程の中での繰り返しの圧膜印刷や、ディスペンサーでの塗布を薄膜ガラスの使用に置き換えられないかとの検討がなされている。これは、ガラスの加工技術の進歩を前提にしての薄膜ガラスへの回帰テーマであるが、タッチパネルの分野でもある部分で薄膜ガラスの良さが見直され、着実に伸びつつある。また、薄膜ガラスに強度アップの表面処理を行い、扱いを容易にしようとする試みもなされている。これらに光を当てて眺めて行きたい。

2. 現状の薄膜ガラスの製造方法

薄膜ガラスと言っても基本的には板ガラス製造方法の技術進歩の中で生まれてきたものである。板ガラス市場へのインパクトの大きさとしては、1952年に Sir.A.Pilkingtonより発表されたフロート法が挙げられる。このフロート法は、特に量産性に富んでおり、一般産業用の板ガラス市場を駆逐し た感があった。しかし電子工業用の材料という中で評価した場合、スズ浴に浮かせて製板する方式のためにスズ面・非スズ面の表裏管理が必要になる場合があ る。一般的に、TFT液晶基板用としてフロートガラスを使用する場合には研磨を必要とする。またフロート法の今後の進歩はあるにしても、板厚0.2mm以 下をクリアーするのは難しい問題である。

その後、高平坦度を有するガラスを製造する方法としてフュージョン法がコーニング社にて開発された。これは熔けたガラスを断面がハート型の樋に入れ、樋の 下部で一体になる製造方法である。ガラス表面は空気以外には非接触で、表面張力のみによって形成されるので平滑な面が得られる。またフュージョン法と同じ く、下に流し出す方式であるダウンドロー法も今世紀に生み出された。この方法は熔けたガラスをスリットから引き下げるが薄ガラスを連続的に製板するための シンプルな方式である。「薄膜ガラス」の製法としては現時点で最も有利な製造方法であると言える。この方法で製造される代表的な材料として硼珪酸タイプの 2品種がある(表1~3)。

表1 Standard composition [ unit : wt% ]

  SiO2 Al2O3 BaO B2O3 Na2O K2O ZnO
Borosilicate glass A 50.4 12.1 23.7 13.2 - - -
Borosilicate glass B 64.2 3.0 3.1 8.9 7.2 6.4 7.1

表2 Mechanical properties / Electrical properties / optical properties

表3 Temperature properties

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