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薄膜ガラス材料 特集/エレクトロニック・フィールド [ PAGE01 ]

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1. はじめに

「シート状の薄ガラス」と言えばどの程度のものを思い浮かべられるであろうか。 液晶基板として使用されているものには0.7mmの厚さのものがあり、薄いものでは0.4mm厚のモバイル向けのタイプがある。タッチパネルのカバーガラスとしては0.2mm厚があり、一部、0.15mm位の板厚材料も使用されている。

0.15mmと言えば、読者の方々も学生時代に扱っておられたと思うが、顕微鏡検査用プレパラートのカバーガラスがこの厚みに相当する。一般には、この位が薄ガラスというイメージではないだろうか。しかし、現実には、薄ガラスの用途開発が着実に進んできており、さらに薄くした『薄膜ガラス』というべき材料が量産用途品として誕生してきている。本稿では、これらの経緯、状況、見通し等について説明してみたい。

2. ガラス溶解の基本的な考え方

いずれのガラスも無水珪酸(SiO2)を多量に含んでいるが、SiO2、B2O3・P2O5等でガラスの網目構造を形成(network former)している。Na2O、K2O、CaO等は単独ではガラス化せず、上記酸化物の網目の孔に入りガラスの性質を変化させる働きをする。また、Al2O3、ZnO等は、上記両者の中間的な役割をするものである。これらの組み合わせにより必要特性を持つ材料を溶解することになる。

3. 薄膜ガラスへの道のり

(1) 手吹き法からクラウン法へ

フェニキア人は紀元前30~20年頃、製鉄の吹き竿を用い容器を作っていた。7世紀には、シリア人が手吹き法で作ったガラスの半球を回転させて遠心力で薄く平らにするクラウン法を発明し、36~40インチ径の円板から矩形板を切り出していた。手吹き法で作った円筒を切断し、たわんだ状態のガラスを平たく延ばす方法(手吹き円筒法)が1000年頃に生まれたが、技術的に難しく、クラウン法と置き換えられたのは18~19世紀にかけてのことである。

(2) 機械吹き法

手吹き円筒法を機械的なエアブローに変えて、円筒の直径を0.9m、長さ12mまで大きくし、これから一定寸法に切り出して再加熱し、平坦に延ばしたのがラバース式機械吹き円筒法で、これが発明されたのが1902年のことである。この機械吹き円筒法は迅速に普及したが、後続の方式に比べて量産性、歩留まりの面で制約があった。

特異な例としては、この方式を板厚1.5mm~50um用に特化させて、現在でも日本国内で技術蓄積されている機械吹き法がある(仮名として松浪式機械吹き法としておく)。極薄にエアブローすると同時に、円筒の形状をいかに一定に保ちながら製板するかがこの方式のポイントとなっている。

(3) フルコール引き上げ法からフロート法まで

一般的な窓ガラスの製造方法に関しては画期的な開発が行われてきた。1901年にFourcaultは、デビトーズと呼ぶ耐火物のスリットから幅広の板ガラスを直接引き上げるフルコール引き上げ法を発明した。1910年にColburnは、ピットから素地を引き上げ約60cm上がったところで端部をガスで軟化し、ベンディングロールにより直角に曲げ水平方向に輸送するコルバーン法を発明した。

その後、これら方法に改良が加えられたり、金属の製板方法に似たロールアウト方式が生み出されたりしたが、板ガス市場へのインパクトの大きさとしては、 1952年にSir A,Pilkingtonより発表されたフロート法が挙げられる(図1)。このフロート法は、一般産業用の板ガス市場を駆逐した感がある。しかし、電子工業用という中で評価した場合、スズ浴に浮かせて製板する方式のため、スズ面・非スズ面の表裏管理が必要となる。

一般的に。TFT液晶基板用としてフロートガラスを使用する場合は研磨を必要とする。また、フロート法の今後の進歩はあるにしても、板厚0.2mm以下をクリアするのは難しいのではないかと考えられる。

(4) フュージョン法からダウンドロー法まで

未研磨の状態で高平坦度を有するガラスを製造する方式として、フュージョン法がコーニング社にて開発された。これは、溶けたガラスを断面がハート型の樋に 入れ、樋の上から溢れ出たガラスが下方へ流れ出て樋の下部で一体になる製板法である。ガラス面は空気以外には非接触で、表面張力のみによって形成されるの で平滑な面が得られる(図2)。

フュージョン法と同じく、下に流れ出す方式であるダウンドロー法も今世紀に生み出された(図3)。この方法は、溶けたガラスをスリットに通すが、フルコール、コルバーンといった引き上げのように異物が混入した場合の破損、墜落といったトラブルが発生しにくい、引っ張りプラス重力が加味されるので無理なく高精度の薄ガラスができるという利点がある。ここで、本題の『薄膜ガラス材料』というテーマに合った製法にたどり着くことができた。その他に、一度板材にした材料を、さらに熱処理、ロールアウトして極薄にするリドロー法があるが、量産性、製板できる大きさ等、現状の実績から見るとダウンドロー法が有利であると言える。

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